オートマ車(AT車)が90%以上を占める日本。それでもまだまだマニュアルの免許を取ろうとしている人は多いはず。とはいえマニュアル車って難しいですよね。免許を取るためだけに覚える人にも、これからマニュアル車に乗ってみたいと思っている人にも、分かりやすく運転のコツ教えます。
MT車運転のコツは、「仕組み」と「感覚」
MT車運転のコツは、まずMT車の仕組みを簡単に理解する、理解したら体の感覚で覚える、これに尽きます。
教習所に行くと小難しい説明と、ひたすら運転して覚えましょうという感じなのでなかなか身につかないですし、楽しくありませんよね。
MT車の仕組みを本当に簡単でいいので理解する。すると実際に運転するときも実はやっていることはシンプルなんだと分かります。それが体感できればあとは感覚を覚えるのみです。
MT車の仕組みをすっごく簡単に理解する
MT車の仕組みを理解すると聞くと「うわ、難しそう」逃げ出したくなりそうですが、安心してください!基本的に小難しいことなんて覚える必要はありません!
試験に受かるためには小難しいことも覚えないといけませんが、運転するうえでは小難しい知識なんて全く必要ありませんから。
MT車の運転が何をしているのかというと、大きく2つのことをしています。
- スピードに合わせてギアを選ぶ
- クラッチを踏んで選んだギアとエンジンを繋げて走る
MT車は基本的にこれの繰り返しで走っています。このギアの選択とエンジンとのつなぎを車が勝手に判断してやってくれるのがオートマ車(AT車)なわけです。
MT車はクラッチとアクセルを使ってなにをしているのか。ここが結局何をしているのか分からないまま実技に入って実戦練習ばかりするから難しいわけです。
ひとまずMT車はこの2つのことをやって走っているんだということを念頭に置いてください。そうすれば実際に運転するときの操作が理解しやすいはずです。
MT車は、速度に合わせたギアを選んで、左足で踏むクラッチと右足で踏むアクセルを使って、車がスムーズに走れるように調整しながら走る車です。
ギアの選び方
ギアの切り替え式自転車に乗ったことはあるでしょうか。実はこれと原理は一緒で、車も速度にあったギアを選んであげる必要があります。
切り替え式の自転車に乗ったことがある人ならわかると思いますが、軽い力で漕いで進めるけどたくさん漕がないと進まない「1番」ギアと、強い力で漕がないと進めないけど漕ぐ回数は少なくて済む「3番」ギアがありましたよね?
急な坂や走り始めは軽い力で進める「1番」ギアを選んで、スピードに乗って平坦な道を流して走るときは漕ぐ回数が少ない「3番」ギアに切り替えて乗るのが切り替え式自転車です。
坂道や停まっているところから走り出すときに、いきなり強い漕ぐ力が必要な「3番」のギアを選んで進もうとしても進めなくて足をついてしまいますし、すごいスピードが出ているのにたくさん漕がないきゃいけない「1番」のギアを選んだら漕ぐスピードに足が追い付かないわけです。
この自転車で言う、うまく進めなくて足をついてしまう状態になってしまった時が、車で言うとエンストなんです。車だと、無理なギアを選ぶと、エンジンが「そりゃ無理っす」となって止まってしまうんです。
なので車も同じで、進む力は強いけどスピードは出せない「1速」のギア~進む力は弱いけどスピードを出すのが得意な「5速」のギアまであるわけです。※「6速」のギアまである車種もあります
じゃぁギアをどうやって選べばいいの?と疑問に思いますよね。細かく言うと車によって基準は変わってきますが、だいたいこんなイメージで捉えておきましょう!
- 1速 発進(時速0km)~時速20km
- 2速 時速20km~時速40km
- 3速 時速30km~時速50km
- 4速 時速40km~時速60km
- 5速 時速50km~高速走行
- 6速 時速70km~高速走行
発進の時は1速で発進して、走り出したらすぐに2速に切り替えます。その後はスピードが上がるにつれてギアを3速→4速と繋いでいって、安定走行に入ったら5速につなぎましょう。6速は高速走行専用と思った方がいいので一般道ではあまり使う必要はありません。高速道路を走るときは、5速や6速などその車の一番番号の大きいギアを選んで走りましょう。
表を見ると分かるかと思いますが、3速と4速は対応している速度が被っています。3速と4速は対応している速度が広く、実際どちらを選んでも一般道の60kmくらいまでなら走れちゃいます。なので3速と4速でどのくらい走るかは、走っている時の感覚の好みで良いと思います。教習所では順番にギアチェンジしていきなさいと指導されると思うので、指導に従いましょう。
対応している速度よりも遅い速度で走ってしまうと、ギアが「そんな速度まで対応できないっす!」となってエンストしてしまいます。なので対応している速度の下限をよく理解しておきましょう。そうするとエンストは防げます。
対応速度よりも速い速度に関しては、エンジン回転がどんどん上がって車が苦しくなっていって、「もうこれ以上スピード出せないっす!」となるので速度は頭打ちとなります。なのでエンストはしません。ですがエンジンを回しすぎて車に負担がかかるのでそこは注意が必要です。
クラッチ操作のコツ
ギアの選び方を理解したら、MT車を運転するうえで最もキモとなるクラッチ操作のコツを掴みましょう!
クラッチはエンジン(動力)と駆動部分(タイヤに力を伝える部分)をくっつけたり離したりするものです。
クラッチを踏むとエンジンからの力を駆動部分から切り離します。クラッチを戻すと、またエンジンからの力と駆動部分が繋がります。基本的な仕組みはこの理解で十分です。
そしてみんなが挫折する「半クラッチ」というのが、エンジンからの力と駆動部分が文字通り半分繋がっている状態のことを指します。
エンジンからの力を駆動部分に伝える時に、エンジンからの大きな力がいきなり全て駆動部分に伝わってしまうと負担がかかってしまうので、エンジンからの力をうまく逃がして駆動部分に徐々に伝える役割を担っているのが半クラです。
半クラをマスターするためには、半クラの状態になるクラッチペダルの位置を覚えるのが絶対条件です。
逆に言うと、半クラになるクラッチペダルの位置さえ覚えてしまえばMT車は運転できたも同然です。
この半クラになるクラッチペダルの位置というのは、だいたいクラッチペダルの踏める幅の半分の位置なんですが、これが厄介なことに車によってその位置が微妙に違います。
なので、乗る車によって半クラの位置の感覚を掴まないといけません。じゃあどうやったら半クラになったのかを判断するのか、半クラになったサインはこんな感じで分かります。
- エンジンの音が変わる
- エンジンの回転数が落ちる
- 車がゆっくり進む
- クラッチを踏んでいる足にエンジンの振動が伝わってくる
このいくつかの変化を体で掴んで覚えるしかないので、この半クラの感覚を頑張って掴みましょう!
この半クラが使えるようにならないとMT車は乗りこなせません。
半クラをよく使うタイミングはこんな感じですが、まだまだ使うタイミングはたくさんあって、全ては書き出せないですし、パターンを覚えるよりも根本的な仕組みを理解して感覚を掴みましょう!
半クラを使うタイミング=発進の時・エンストする可能性があるタイミング
なので、いつでも半クラを使えるようになっておきましょう!
MT車運転のコツ
MT車の運転が何をしているのか、ギアの選び方、半クラのコツ、ここまで理解したら、あとは運転のコツを掴みましょう!
MT車の運転のコツはズバリ、落ち着いてゆっくり操作することです。
- 発進でエンスト ⇒ 半クラの位置で我慢できずに焦ってクラッチを早く戻して繋いでしまう
- 坂道で下がってしまう ⇒ 半クラになるまえにブレーキを外している
- ギアチェンジのたびにガックンガックンする ⇒ 急いで素早くクラッチを繋ぎすぎ
MT車の運転での失敗はほぼこの3パターンだと思いますが、全てに共通しているのが焦って素早く操作をしすぎているのが大きな原因のことが多いんです。
発進の時と坂道発進の時はしっかり半クラになってから発進することで、勝手に車が進もうとしてくれるので、そこからアクセルをやさしく踏んであげれば安定して発進できます。
ギアチェンジのたびにガックンガックンしてしまうのは、ギアチェンジをしようとしてクラッチを踏んでから、早く次のギアを繋がなきゃと焦って操作が手早くなりすぎることでガックンガックンしてしまうので、クラッチを踏んでから「よっこいしょ」というくらいゆっくり落ち着いて繋ぎましょう。そのくらいゆっくり繋いでも全然走行に問題はないですし、むしろスムーズに運転できます。
細かなコツはたくさんありますが、基本的にMT車の運転が苦手な人は操作が手早すぎる人が多いので、まずは落ち着いてゆっくりしっかり操作することを心がけてみましょう!
まとめ
ここまで読んでくれた方はえらいです!wこの長い文章を読み切ったということは、MT車の運転がうまくなりたいと本気で思っている人だと思います。今回はMT車の基本的な運転の仕方を解説しました。もっと細かく解説もしていきますのでもしよろしければまたお付き合いください。